(8)WWI後の再建金本位制の変遷

Posted on | 2016年7月6日水曜日 | No Comments

◯金本位制の停止

→WWⅠ勃発と同時に、ポンドの兌換(=金との交換)を停止
→大戦中、各国は金本位制から離脱
→膨大な戦費調達のために、公債と対外債務に依存する赤字財政
→戦後、金本位制の再建が各国の課題(金本位制を基礎とした通貨安定が求められる)

◯再建金本位制
WWⅠ後、1920年代後半には日本を除いて国際金本位制が再建

<アメリカ>
WWⅠ勃発に債務国から債権国に転換
→金保有量の増加
→豊富な金準備とドルの強化(国内金融上の地位向上)
→金輸出を自由化させることに障害がなかった。
→WWⅠ後は新規対外投資の額も世界最大
→ドルはポンドに代わる基軸通貨になりつつあり、戦後の国際的な資金循環の中心国になる。

<アメリカ以外の国の直面した困難>
❶アメリカ、フランスへの金の集中
❷物価水準(通貨価値)が戦前と異なり、物価上昇(インフレ)
→インフレ克服のために金本位制を再建するという側面と、金本位制に復帰するためには通貨安定が必要という側面。

<ドイツ>
ドーズ案の一環により金本位制復帰
→新通貨、平価切下げ

<イギリス>
ポンドの為替相場の不安定性
→ポンドの弱体化(賠償問題の紛糾など)
→旧平価解禁
→戦前の国際的地位と威信の回復
→ドイツの金本位制復帰に促されて金本位制復帰

<フランス>
通貨安定化(過小評価された水準で安定)
→新平価(低水準):フランの過小評価
→輸出産業には有利に作用し、輸出増大
→フランスの金蓄積が進む
→国際金融の不安定要因(金の偏在)

<再建国際金本位制>
・ドイツ、イギリスの金本位制復帰が転機となり、国際金本位制はようやく再建。
→主要国通貨の為替相場は安定し始める。
→大恐慌の勃発とともに、そのわずか数年で崩壊。

・WWⅠ後に再建されつつあった国際金本位制は、純粋な金本位制ではない。
→アメリカへの金集中が背景、戦前のような金本位制をとったのはアメリカのみ。それ以外の国はいずれも乏しい金準備の節約の必要性に迫られていた。
→イギリス・フランスは、金地金本位制(一定額以上の銀行券についてしか金兌換を認めない)
→ドイツその他多くの国:金為替本位制

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