(9)1929年恐慌の世界への波及
Posted on | 2016年7月17日日曜日 | No Comments
アメリカの国内不況は、貿易や投資(資本の輸出入)のルートを通じて、すでに不況局面に入っていたヨーロッパや日本、農業諸国にも波及し、世界大恐慌へと拡大!
❶アメリカの資本輸出の減少
→アメリカの金利上昇に伴い、それまで外国に向かっていた資金がアメリカ国内へ還流
→さらにわ株価暴落をきっかけに、アメリカの資本輸出は大きく縮小。
→資本の流れが完全に逆転(アメリカへの還流)、世界経済に対するドル供給が激減した。
❷アメリカからの継続的な資金供給に依存していた世界経済の維持が困難となる。
→最も深刻な打撃を受けたのは、ドイツを中心とするヨーロッパ諸国、農業諸国(アルゼンチン、ブラジルなど)
A)農業諸国への波及
→WWⅠ中にヨーロッパ諸国へ向けて生産拡大
→WWⅠ後はヨーロッパ農業が復興し、農業諸国は生産過剰となる。
(WWⅠ後、ヨーロッパ諸国は農民保護政策をとり、関税引き上げ→農業諸国にとっては厳しい政策。それでも外貨獲得のため、唯一の輸出産業である農業産業の生産拡大につとめる)
→経常収支・国際収支の悪化
→アメリカの資本引き上げ
→急激な外貨危機
→アメリカの恐慌により資本輸入の途絶
→国際収支危機
→価格が崩壊
→ダンピング輸出へ(価格低下のもとで生産規模を維持・拡大)
B)ドイツなどヨーロッパ諸国への金融危機の波及
ⅰ)ドイツにおける金融恐慌
→1928年頃から景気後退、下降局面
→資本輸入の減少が景気下降に拍車をかける
→外貨の減少
→中央銀行の発券準備の減少
→通貨不安、流動性不安による信用機構の動揺
→金融恐慌の発生
→モラトリアム宣言による賠償の一時停止
ⅱ)ドイツの金融恐慌がイギリスに波及
→ドイツに投資されていたイギリスの短期資本の回収が不可能となる
→イギリスの外資事情が悪化
→イギリスに投資されていた外国の短期資本の流出
→イギリスの国際収支の悪化

Category:
経済史2
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